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10+1 years
Yuri Kezuka 

10 October - 7 November 2021

 この度、毛塚友梨は個展「10+1years」を開催させて頂くことになりました。
本展は昨年(2020年)10月に行った作家活動10年を記念する個展「10years」の続編です。前回は大きな作品の展示が主でしたが、今回は前回の個展で展示していない小作品、また今まで一度も展示したことのない未発表の作品を含む展示会です。

 今年も昨年に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響による状況を鑑み、現地会場と併せて、3Dスキャンを使用したオンラインビューイングを行う予定でおります。遠方の方も是非オンライン上で、毛塚友梨の作品の世界観をご高覧ください。

 毛塚はバケツや蛇口やゴム手袋など、大量生産されている日用品を陶器によって作り直す作品を発表しています。

 

 この作品は「紐作り」と いう土器などに用いられた原始的な技法で立体造形されているのが特徴です。一見すると薄汚れたバケツに見える作品も、よく見れば粘土 の緻密な積層、そして釉薬の艶やかな重なり合いによって構成されています。そのような毛塚の表現は「モチーフの姿(イメージ)」と「ディティ ールの質感(マチエル)」を極度に相反させることで、私達にとっての「物を見ること/認識すること」にズレを生じさせます。このような「認識のズレ」とは、インターネットがもたらせた「物質」と「データ」の剥離など、まさに現代社会を巡る視覚認識の問題です。

 さらに毛塚の作品においては、既製品というモチーフを一本一本の粘土の紐を丁寧に積み上げて構成していく、それを乾燥させて焼いて いくという時間の経過が、「既製品の即席性」と「陶芸の緻密性」を対比し、物質を巡る時間の流れが意識されます。そのような時間の流れとは、石油燃料の大量生産品などが数十年で劣化してしまうのに対し、陶芸は数万年も劣化しないという膨大な時間 の流れの対比でもあるのです。陶器というメディアが持つ様々な特性や意味について考察しながら、現代社会における「物を見る/認識する」 ということに対して毛塚の表現は問いかけています。

 また、期せずして今回毛塚の個展はコロナ禍での開催となりました。現代において毛塚の作り出す汚れたシャワーやアカスリといった水回 りのモチーフは、今を生きる私達にまた特別な意味を持ちます。既製品の表面に付着しているかもしれない、目に見えない細菌に極度に警戒 して暮らしていくということ。ある意味そのような視点自体が自体が粘土を几帳面に積層し、釉薬によって既製品の汚れを描写していく毛塚 の制作に重なります。まさに「コロナ前の過去」より「コロナ禍以降の世界」において毛塚の作品はより一層、興味深い鑑賞体験を生み出すと 考えられます。是非ともご高覧ください。

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